プラチナ王子



「いや~青春だなオイ」


隼人がニヤニヤしてあたしの頭を撫でてくる。


「ちょっ……やめてっ! てか、何で隼人までさっき笑ってたのさ!」

「あ~? だって奈々から聞いてたし。昴が勘違いしてるって」

「……」


奈々を見ると、それはそれは楽しそうに口の端を上げて笑っていた。


「ナナのウソツキッ!」


昴は少し怒っているみたいで、奈々に向かってめずらしく牙をむく。


かっ……可愛い! 昴の牙なんて、マシュマロみたいに柔らかいに決まってる!


きゅーんとしてるあたしの横で奈々はフンッと鼻で……嘲笑った? え?


「勝手に勘違いしたのは昴でしょう? 私は、“のん”は透の大切な人って言っただけじゃないの」

「でも……ットールは、のんがスキだっていった!」

「やぁねぇ、当たり前じゃない。のんは透が溺愛して溺愛して骨の髄まで可愛がってる弟なんだから」

「デキ……アイ……ホネの、ズイ……??」


意味が分かってない昴に説明もせずクスクス笑うだけの奈々に、さすがのあたしも昴にキュンとしていられない。


本気で悪魔にしか見えないんですけど!



「ちょ、ちょっと奈々……まさかと思うけど、のんに何か言った!?」

「協力してもらっただけよ?」


にっこり笑う奈々を見て、のんがクラスに来た時のことを必死に思い出す。


あたしが席を外した時、奈々とのんは2人きりになったよね。うん……それで、何を話してたか聞くと、世間話って言われた。


奈々は席を外して、あたしはのんとお喋りして、やたら可愛いのんにあたしは溺愛っぷりを発揮して……。


のんが昴たちを見つけた時、奈々はすでにみんなの横にいましたよね……?



そこから昴のミディアムレア的シカトが始まって……泣きそうになったあたしにのんが抱きついてきて……やたら好きだとかデートとか言ってきて……。


帰ろうとする前にのんは奈々にパフェ奢ってとか言ったね! 言ったよね!?