ざわっと体育館がどよめき、司会はうしろに座っているあたしを見た。
『なんと! 大聖くんが告白したのは1年プリンセスの透ちゃん!?』
そう言う司会の言葉は聞こえたけど、あたしは同じく振り向いた大聖を恨めしげに睨んだ。
「ははっ!」
「いや、笑いごとじゃないよ!」
「いいじゃん。どうせいつかバレることなんだから」
「だからって今こんなとこで言わなくてもいいじゃんかっ!」
「ごめんって!」
「あとで覚えてなよ!?」
「……その意気」
「はぁ!?」
大聖はフッと笑うと、前に向き直った。
な、何さっ! その意気って! 意気って……。
『……なんか、普通に仲いいね~?』
「そう見えるのは透のおかげっていうか、まあ……透はああじゃないと」
隣にいる奈々がクスクス笑って、あたしは膝の上で拳を握った。
「いい奴よねぇ? 大聖って」
「いい奴すぎるよ……」
昴に好きな人がいると分かって落ち込んでたあたしを、ステージに上がる前から見てたんだね? 励まそうとしてくれたんでしょう?
頑張れだけじゃない。その意気だって、二度も応援してくれた。
落ち込んでばかりいられないじゃん……。
『大聖くんありがとうございました~! 大聖くんにときめいた女子も多いことでしょうっ。では早速、告白タイムに移りたいと思いまーす! プリンセスの皆さんも前に出て下さいっ』
――はっ! やばい! 帰るタイミング逃した!?
「おう、透」
渋々ステージに並ぶと、隣になった隼人に声を掛けられる。
「やぁ……」
「テンション低くね?」
「別に普通だよ……」
「……あぁ。なるほどね」
隼人はチラッともう片方の隣を見てから、ニヤリと笑った。隼人の隣には、昴が立っている。



