プラチナ王子



『すごい展開です……! 我が校の王子に好きな人が! しかも、彼氏持ちで同じ高校の生徒! やばいです……。告白までするということですが、ここでしますか!?』

「――ハイ」


頭が痛い。おかしくなりそう。


『なんとここでする!? 彼氏持ちの女子がさぞかし期待してることでしょう! 気になります……! が、しかし。告白タイムはまだ先です!』

「……いま、しないんですか?」

『告白する気満々ですか! でもごめんねー! まず1年のプリンスを紹介させて下さいっ! お楽しみは後でーす』

「「焦らすんじゃねー!」」

『はい黙ってー! 紹介します! 1年プリンスは……矢部大聖くん!! どーぞ、ステージに上がってきて下さーいっ』


「あら。大聖ですって」

「……だね」


大聖もプリンスだなんて、すごいね……おめでとう。


「ちょっと透。やめてよ、その顔。今にも死にそうよ?」

「ほっといてちょうだい……」


大聖の事情調査が終わったら、帰ろう。昴の告白なんて聞きたくないもん。


耐えられない。耐えられるはずが、ないんだ。



『1年プリンスに選ばれました! 今のお気持ちはどうですかー!?』

「「かっこいー!」」


いつのまにか、大聖がステージに上がっていた。


短い黒髪をかく大聖に、きっと恥ずかしいんだろうなぁ……なんて思いながら後ろ姿を眺める。


「あー……ありがとうございます」

『1-3から3人も出ましたね! そりゃ優勝するわな~。 さぁ大聖くん、質問に入りまーす!』


大聖も聞かれるのかぁ……当たり前っちゃ当たり前だけども。


『好きな人はいますか?』

「いますねー」

「「やだー! 大聖くんまでいんの!?」」

『これまたいると! いつから好きなんですか?』

「5月くらいからっすね」

『おっとまさか? 同じ学校!?』

「そっすねー」


ポンポン答えていく大聖に、女子の何とも言えない叫びが響く。