プラチナ王子



『さぁ続いては! 2年プリンス! 桂木ぃ~! 昴ぅぅ~!』

「「きゃあぁぁぁあ!!」」


プロレス選手入場!みたいな感じで昴の名前呼んでるし……。


このイベントが嫌だと言った昴は今、どんな顔をしてるんだろう。


あたしには昴の背中しか見えないけど、ステージ前に押し寄せた女子たちは目を輝かせ、頬を染めて昴を見上げている。


「……」


あたしもあっちに行きたい。


そしたら、昴の顔が見れるのに。



『2年連続プリンスに選ばれたね~! おめでとう!』

「……ありがとーゴザイマス」


「かわいー!」と叫ぶ声が聞こえる。


『では早速質問です! 好きなタイプは?』

「……よく、わかりません」

『去年と同じ答えが帰ってきましたね~! 今年は恋、出来そうですか!?』

「……ハイ」

『おっとぉ!? 女子の目の色が変わりました~気をつけて下さい王子! 狙われてます!』


その後も続く司会の質問に、しっかり答える昴の声をじっと大人しく聞いていた。



『昴王子! まぁ調査済みですが、一応聞きます。彼女はいますか?』

「いません」

『ですよねー。じゃあ、彼女は欲しいですか!?』

「ハイ」


え……。


『なんと欲しい!? はい、女子の皆さ~ん。獲物を狙う目で昴くんを見ないよーに!』


昴……彼女欲しいんだ……。


そっか。そうだよね。昴だって高校2年生だし……欲しいって思っても別におかしいことじゃないし……。


でも、今までそんな話聞いたことないよ。


まさか、候補がいる、とか?


彼女が欲しいんじゃなくて、彼女にしたい人が、いるの……?