「――まあ、こんなところかしらね」
太陽の光が教室に差し込む昼休み。
窓の外をぼんやりと眺めていたあたしの隣で、親友の三神 奈々(みかみ なな)が王子の生態を話し終えた。
「それ、見てれば大体分かる」
思わず本音が出てしまい慌てて口をおさえる。が、奈々はニッコリと笑って、あたしの首に手を伸ばしてきた。
「やぁねぇ透ったら……私のデータにケチ付ける気かしら?」
「痛いっ! 痛い痛い! ギブ! ギブ!!」
周りにいたクラスメイトにはじゃれてるように見えるのか、「仲良いなー」とか、のんきなことを言っている。
違うから! これ、羽交い絞めされてるから! 殺されかけてますから!
「ごめんなさい! 素敵情報ありがとうございますっ!」
「分かればいいのよ」
スルリと奈々の華奢な腕が離れて、寿命が縮んだと思いながら安堵のため息を吐いた。
同時に少し、むつけている自分に気付いたけれど。
……回って来る情報、奈々が教えてくれる情報。自分で見て感じた印象。
そんなことしか知らない自分は、その立ち位置止まりってことだもんなぁ……。



