「透は、可愛いよ」
「何いきなり!」
「好きだってことだよ」
大きな目を細めて笑う大聖にズキンと胸が痛んだ。
可愛いって言われて、嬉しくないわけじゃないのに……。
今日、1番言ってほしかった人に、可愛いって言われなかった。そればかりが頭に浮かんで、眉を寄せて俯く。
出掛けた言葉を飲み込まないように。喉奥で引っ掛かる言葉をちゃんと吐き出せるように。
――あたしは他の誰よりも、昴に、可愛いって言ってほしいんだ。
「大聖……」
弱々しい声に力を注ぐみたいに、顔を上げて大聖の顔を真っ直ぐ見る。
「大聖とは付き合えない」
申し訳ないのか苦しいのか。すごくぐちゃぐちゃした気持ちだったけど、ちゃんと返事をしなければいけないと思った。
「そんな、泣きそうな顔すんなよ」
自分がどんな顔をしてるかなんて分からない。
それでも大聖が苦笑いしてしまうような表情を浮かべてるんだってことは分かる。
思わず、あたしの頭を撫でるくらいだってことも。
「……昴先輩だろ?」
……知ってたのに、告白してくれたんだね。
「……うん。あたし、昴が好きなんだ」
「知ってたよ」
「――ご、ごめんね……っ」
「あーもーっ。泣くなよ!」
涙が目にいっぱい溜まって、あたしはぐっと眉を寄せる。



