「ハハッ」
グサァッ!と、何かが胸に突き刺さる感覚に危うく失神するかと思った。
何で笑うのか分かんないけど、射抜かれた。今の笑顔は射抜かれた。
これが噂の悩殺スマイル……!
「かえろー」
昴先輩は微笑んで立ち上がる。それだけの行動なのに、胸が高鳴ってしまった。
やばいなぁ……いちいちときめいてたら、心臓がもたない……。
気を紛らわすように前髪を手櫛で整えて、昴先輩の後を追って廊下に出る。
「What is your name?」
「はひ?」
教室に向かう途中。振り返った昴先輩が発した英語での質問に、間抜けな返事を返してしまう。
「ハヒ?」
「いや違っ! えと、名前!? とっ、透です! 向井 透っていいます!」
「んん、トールッ」
先輩があたしの名前を呼ぶ。胸キュンせずにはいられない、笑顔と一緒に。
「……っ」
か、顔が熱い。熱すぎて、溶けちゃいそう。
「オレはね、スバル」
「す、昴先輩……」
知ってます。誰もが知ってます。だってあなたは、学校一のモテ王子ですもの。
「1ねんせー?」
「はいっ」



