「――透」
机に座りながらぷらぷら足を揺らしていると、大聖に声を掛けられた。
「何?」
「ちょっといい?」
「うん? いいけど」
あたしは不思議に思いながらも机から降りて、大聖について行く。教室を出る前にふと奈々を見ると、なぜか微笑んでいた。
……黒いオーラ全開だったな。
そんなこと考えながら歩くあたしが喋らないのは、大聖がずっと黙っているから。
ふたりとも無言のままで辿り着いたのは学校の敷地内の端っこで、大聖たちとよくバスケをする穴場的なところ。
滅多に人が来ないから、隼人ともよくここでサボっていた。
「……どーしたの?」
いつものように錆びたベンチに並んで座り、問い掛ける。
「あー……あのさ」
「うん」
大聖は地面に視線を落としながら、黒い短髪をぐしゃぐしゃとかき回した。
「俺さっ!」
「はいっ」
いきなり顔を上げるから、驚いてはいとか言っちゃったじゃん……。
あたしを見つめる大聖の顔は、みるみるうちに真っ赤になっていく。
……な、何だ?
固まる大聖に、あたしまで緊張してくる。
しばらく見つめあって、大聖はやっと口を開いた。



