「まぁそんなことより、後夜祭よね」
そんなことって! 確かに奈々にヤキモチ妬いたって仕方ないから、そんなことだけども!
あたしが昴の態度にしょげてることよりも、奈々は後夜祭の方が楽しみなんだろうと思って諦めた。
「……16時からだよね」
文化祭最終日に生徒たちだけで行われる後夜祭は打ち上げみたいなもので、店の衣装のまま参加していいらしい。
そういえば1年には絶対秘密の大イベントがあるって……この2日間何もなかったし、後夜祭にやるっぽいなぁ。
「楽しみだわ」
「何するんだろうね」
「さぁねぇ」
さっきからクスクス笑う奈々に感じる、違和感。
「……何するか知ってんの?」
まさかね。さすがの奈々でも知らないでしょ。
そう思いながら奈々を見つめていれば、ニヤ~ッとここ最近で1番楽しげな笑顔を向けられた。
「――うっ、嘘でしょ……?」
何をやるとか、噂すら流れなかったのに……!
「この世で私に分からないことなんて、なくってよ」
口に手の甲を当てて微笑む奈々は、傲慢な女王様にしか見えません。
恐るべし奈々……。名字に“神”が入ってるだけある!
「言っておくけど、教えないわよ?」
「何で!? 教えてよ!」
「やぁねぇ透ってば。1年生には秘密なのよ?」
奈々もあたしと同じ1年ですよね……? 一体どうやって情報を手に入れたんだ。お金か。伝統をひねり潰すほどの権力か。
「いいもんね! あと1時間の我慢!」
あ~気になる! 早く16時にならないかなぁ。



