プラチナ王子



あたしは椅子に座って、美味しそうにあんまんを食べるのんを見つめる。


ほわ~んとしてると、ふっと鼻で笑われた。


「そんなに見つめないでよ」

「え~いいじゃん」


減るもんでもあるまいし!


なんで男なのに、こんなに可愛いのかねぇ……。


肌すべすべだなー。まつげ長いなー。髪ふわふわだなー。いいなぁ……。


テーブルに頬杖をついて飽きることなくジッと眺めていると、頭を小突かれた。


「見すぎだってば」

「だって、羨ましいんだもん」

「透だって可愛いじゃん」

「今まで生きてきて、今日1番言われた!」

「今日も可愛いけど、俺は普段の透も可愛いと思うよ?」


ニコッと笑うのんに、くらりと目眩が襲う。


「のんに言われると嬉しさが違う!」


隣に座ってるのをいいことに抱きつくと、のんはあたしの顔を覗いてきた。


「そんなに俺が好き?」

「好き! 超好き!」


クスクス笑うのんは、あたしを離して頭を撫でてくる。


「俺の方が好きだけどね?」

「やった! でもあたしの方が好きだと思う!」


そんなやりとりをしていると、のんが遠くに視線を移した。


「……? のん?」

「あの人、すごいかっこよくない?」

「どれ?」


あたしは、のんが見つめる先を追う。