「――のん!?」
毛先に軽くウェーブがかかった黒髪が真っ先に目に入り、思わず声を張った。
175センチある長身の割に華奢で、笑うと目尻が下がり、男にしては可愛い顔をしてる。
間違いなく“のん”だった。
「何でいるの!?」
「来ちゃダメだった?」
「そんなことない! 可愛い!」
しゅんと眉を下げたのんに抱きついて、ぐりぐりと頭を擦り寄せた。
天使! のん! のんは紛れもなく、地上に舞い降りた天使!
「やっぱりのんだったのね」
のんに癒やされていると、奈々が後ろに立っていた。
「奈々! 久しぶりっ」
「久しぶり。相変わらず可愛い顔してるわねぇ……」
あぁ……何て眼福。美人の奈々と可愛いのん! 最高! 眩しい!
「透~。戻ってこーい」
「ニヤニヤして気持ち悪いわ」
「出た奈々の毒舌!」
はしゃぐのんに、あたしの肩を叩く奈々。
「早くオーダー取りなさいよ。のんを待たせないで」
「分かってますぅー!」
見目麗しい2人が並んだら、ニヤニヤしちゃうじゃん! ……いや、しないか…?
オーダーを済ませて、のんが注文したジャスミンティーとあんまんを持っていく。
「のんお待たせ~! 何話してたの?」
「世間話! ありがと、おいしそ~」
「じゃあ、ごゆっくり。透は少し話してたら?」
「そのつもり!」
「あっそう」
奈々はのんと軽く話して、お客さんがいなくなったテーブルを片付けに行った。



