プラチナ王子



「何か、おかしい?」


ビクビクしながら聞くと、みんなは目を輝かせた。


「超可愛い!」
「ほんとに透!?」
「まじで優勝狙えんじゃん!?」


わっ!と周りにクラスメートが集まって、戸惑う。


「えっ……と?」


か……可愛い?


「すごーい! それウィッグ?」

「髪長いの新鮮~! メイクも似合うじゃん!」


女子たちがウィッグを触ったり、顔を覗いたりしてくるけど、何が何だか分からないあたしはぐるぐると目を回すことしか出来なかった。


「何してるのよみんな。接客しなきゃダメじゃない」

「――奈々!」


接客そっちのけであたしの周りに集まるクラスメイトに、奈々が止めに入ってくる。


「透も。早く接客に回って」


クラスメイトがブーブー言いながら接客に戻っていく中、あたしは奈々を見上げた。


「奈々、あたしどうなってんの?」

「なぁに? まだ聞き足りないの? 可愛いわよ、最高に」


そんなこと言われても……。


奈々は「まさか見てないの?」と言って、教室の隅に作られたプライベートルーム……1-3の休憩室みたいなところへあたしを引っ張っていく。


「ほら。見てみなさいよ」


差し出された鏡を受け取り、右目を瞑りながら恐る恐る自分の顔を確認する。