「……」
しっ……視線が痛い!
屋上を後にして、クラスまで歩いてるあたしはすれ違う人からジロジロ見られていた。
きっと変なんだ。何か奈々、目の周りに色々塗ってたもんな。
――はっ! まさかパンダにした!?
いやいやまさか。いやでも奈々ならやりかねない……。
悶々と考えながら、俯いて早足で歩く。チラッと上を見上げると、1-3の表示が見えた。
奈々め! 今日こそガツンと言っ……。
──ガツン!
いっ!
「~~つう……」
教室に入ろうとすると額に何かが激突し、あまりの痛さに両手で額を覆って俯いた。
「すいません! 大丈夫ですか!?」
「は……なんとか……って、大聖じゃん。それ何っ!? めちゃくちゃ痛かったんだけどっ」
顔を上げると、大聖が両手にダンボールを持って教室の入り口に立っていた。
「……大聖?」
質問に答えない大聖は目を見開いて、あたしを見てる。
何だ……?
「まさか……とっ……透?」
「透ですけど」
えっ……分からないほどあたし原型留めてないの!?
大聖はぽかんとしていた顔を、徐々に赤くしていく。
「やっぱ何か変!? トイレで鏡見たかったんだけど、周りの視線が痛くてさ!」
「可愛い……」
「へぁ?」
大聖、どんだけ真っ赤なの。
「ちょ……やべえって……」
あたふたする大聖に首を傾げていると、「えっ!?」と驚く声が教室から聞こえた。
「嘘っ! まさか透!?」
教室にいたクラスメイトがざわつき始め、あたしは教室に入る。



