「あした、いくね。トールのとこ」
「うん! 来て来て!」
「今日は無理なのね」
「ウン。なんか、ダメ? いわれた」
「……そっかあ~」
人気者なんですね……そりゃそうだ、昴だもの。でもちょっと、ヤキモチ妬いてみたり……。
ショートケーキを口に運びながらそんなこと考えてると、昴の視線に気付く。
「な、何?」
「あしたもpanda?」
「明日は透もチャイナドレス着るわよ。今日は呼び込みだったからパンダなの」
「ホント!? たのしみー!」
なんでそんなに喜ぶの!?
「みたいー」とニコニコ笑う昴に、逆に不安になってきた。
「いや昴! あんまり期待しないで! 奈々みたいに、綺麗にならないから!」
よく考えれば、あたしがチャイナって無理ある!
「どして? トールはカワイーから、なんでもにあうよ」
キョトンとする昴の目には、きっと補正フィルターが掛かってるに違いない。
王子だから何でも美しく捉えちゃうの。夏祭りで、ただのリンゴ飴を綺麗って言ってたもんね。
……とか色々考えても、ときめきが治まりません。
カワイーから何でも似合うって! 褒め殺す気ですかっ!
「今、チャイナドレスどころか、パンダだよ……?」
「ウン。ちょーカワイー」
カワイーのは昴の方なんですけどーっ! 超なんていつどこで覚えたの!
ハァハァと息が乱れそうになると、誰かが昴を呼んだ。
「昴! そろそろ時間!」
「あ、ゴメン」
昴のクラスメイトが、「後詰まってんだからっ」と急かしてる。
もう時間かぁ……。まだ一緒にいたかったな。



