「そ、それ、どうするんですか?」
不安になり声をかけると、昴先輩は包帯を1メートルくらい切り無邪気に笑った。
「gather」
ぐっは! きれいな発音!って、違う違う。
ぎゃ……ぎゃざー?って、巻きつけるとか、そんな意味だよね? いやいや……え?
「そ、それ……巻くんですか?」
「ウン」
「……」
巻くって……巻く!? 傷に直接包帯する気ですか!?
唖然とするあたしの膝に、昴先輩はガーゼもあてず包帯を巻き始めた。
……昴先輩、そんなことしたら包帯の繊維に血が固まって、取る時に痛いです。
手当てされたはずが、手負いになっちゃいます。
でも、そんなこと言いません。
昴先輩が一生懸命、あたしだけの為に、手当てしてくれてるから。
そう思うと、きゅーんと胸が熱くなった。
間違ってても、いいんです。もはやその包帯すら愛しいです。宝物にします。
ただの血が付いた白い布だけど。



