プラチナ王子



「すぐ分かるわよ」


そう奈々が微笑んだと同時に、テーブルに影が出来た。


「Welcome ma'an」


え……?


見上げると、執事の格好をした昴が胸に右手を当てて、お辞儀していた。


――かっ、かっこいいぃぃぃい!!


顔を上げてにっこり笑う昴に、心臓破裂寸前いやもう破裂した。こっぱみじん。


「お嬢様方の執事になります、昴です。よろしくお願い致します」


ぎゃあああああ! 日本語っ! 日本語出来てる! 素敵! 執事王子!


「いいわよ昴。普通に喋ってちょうだい」

「ホント? ありがとー」


先程の綺麗な微笑みではなく、ふにゃっと溶けそうな笑顔を浮かべた昴。


ギャプウゥゥゥ! やばいやばいやばい! 心臓が、どっこんどっこんしてる!


「!」


昴と目が合い、あまりの恥ずかしさにフードを引っ張って深く被った。


格好良すぎて目が合わせられない……!


「トール」

「……っ」


昴がフードをめくり、腰を折り曲げてあたしの顔を覗いてくる。


「panda? カワイー」


きゅぅぅうと胸が締め付けられる感覚には未だに慣れないけど、パンダで良かった……。


「よしよし。ナニのむ?」


昴はあたしの頭を撫でると、メニューを差出した。