プラチナ王子



「――うっわ……」


昴のクラスに行くと、長蛇の列が出来ていた。確認するまでもなく、全員女の人。


「混みすぎね」

「……執事カフェらしいよ」

「執事? うちに本物がいるじゃない」


さすが! でもまだメイドさんしか見たことない!


「せっかくの休憩時間を待ち時間で潰させる気かしら」


不機嫌な奈々は携帯を開き、メールを打った。


「何? 誰に送ったの?」


奈々はフッと笑うと、教室の入り口を見遣る。不思議に思ってしばらく入り口を見ていると、教室のドアから執事らしき人が出てきた。


「奈々お嬢様、透お嬢様、いらっしゃいますか?」


奈々お嬢様は正解だけども! 透お嬢様とか似合わすぎて笑いそう!


「早かったわね。行くわよ透」

「えっ!?」


奈々は執事らしき人に声をかけ、あたしは訳が分からないまま教室に促される。


「「お帰りなさいませ、お嬢様」」

「はひ……」


教室に入ると、たくさんの執事が迎えてくれた。


「5番テーブルにどうぞ」

「えぇ」


にこっと笑う奈々に、頬を染める執事。


テーブルにつくと、「少々お待ちくださいませ」と言って執事は去っていた。


「どういうこと、奈々!」


あんな行列出来てたのに、何であっさり入れたの!?