「アシみせて~」
「!!」
ちょ、待って! 昴先輩、その脱脂綿びちゃびちゃです! 消毒液がめっちゃ床に垂れてますよ!?
絶対、し・み・るっ!!
「イタァ──ッ!!」
案の定膝に激痛が走り、腹の底から声に出る。そんなあたしにお構いなしな昴先輩。
「ガマンー」
「は……はひ」
あまりの痛さに、変な相槌出ちゃったじゃないですか。
ヒリヒリする膝の痛みを我慢していると、昴先輩は赤くなった脱脂綿をゴミ箱に捨てる。
「ハサミはどこ?」
……昴先輩。あなたはやっぱり、王子なんですね?
「そ、そこにあります」
あたしの言葉通り昴先輩はハサミを見つけ、不器用に使い始めた。その姿を見ながら、真剣に考える。
なぜ、包帯なんでしょうか……。
昴先輩は絆創膏ではなく、大げさに包帯を取り出した。
やっぱり昴先輩はどこぞの国の王子で、絆創膏なんて知らないんですね?
他人の傷の手当てなんて、したことないんですね?



