プラチナ王子



「「「呼び込みすぎ!」」」

「ふはははは」


呼び込みを一通り終え、クラスに戻ると大繁盛。教室の外にまで行列を作っている。


てんやわんやしてるみんなを余所に、あたしは勝ち誇ったように笑っていた。


「人足りないよ! 奈々ちゃん、店出て!」

「私、接客なんて出来ないわ」

「ダメ! 何人か奈々ちゃん目当てで来てる人いるんだから!」


有無を言わさず連れてかれそうな奈々に、満面の笑みを向ける。


「頑張ってね! 奈々ちゃんっ」

「ありがとうマスコットさん」

「イタタタタタ!」


着ぐるみ着させられた恨みを晴らそうとしたら、奈々の不機嫌が跳ね返ってきた。


ヒールで足を踏まれたの初めてなんですけど……。


「そこ! じゃれてねぇで奈々は黙って接客行け! 透は呼び込み!」

「うわっ!」


背中を押してきたのは学級委員で店長役の忍(しのぶ)だった。


「あたし1人!? てか、こんな混んでるんだから呼び込みしなくていいじゃん!」

「はん? 午後の客を取ってくるべきじゃね? 売り上げ1位狙うんだろーが」

「あたしだけじゃ客来ないよっ!」


奈々がいたから、こんな繁盛してんだし。


「透でも大丈夫だって」


声に振り向くと、大聖がエプロンの紐をほどいていた。


「あーちょうどいい。大聖も呼び込み行ってこい。調理組大丈夫だろ?」

「おー。足りない分買い出し行ったし、作るとこは人足りてるから大丈夫」

「買い出し!? まだ午前なのに!?」

「透たちが呼び込み頑張ったからな」


爽やかに笑う大聖につられて笑ってしまう。


やっぱ大聖いい奴!


「んじゃ、呼び込み行こ!」

「頼んだぞ」


接客を始めた奈々を横目で見ながら、あたしは大聖と再び呼び込みに行く。