「楽しかったねー!」
海をあとにして電車に乗ったあたしたちは、帰る前に名残惜しそうに駅前で話し込む。
「いい思い出やな」
「暑かったわ」
「夏休みも終わりかー」
「――summer festival!」
「「え?」」
キョウと同時に見ると、昴は駅に並ぶ店のひとつを指差す。店の窓には張り紙が貼ってあった。
「……夏祭り?」
「Japaneseマツリ!」
昴が子供みたいに目を輝かせている。
「今年行ってへんなぁ……」
「俺もバイト忙しかったからなぁ」
「もうだいぶ、涼しいわね」
口々に話す奈々たちは、もちろん顔がにやけていた。
時刻は18時過ぎ。張り紙が記す夏祭りの日時は今日の21時まで。どうやら花火まで打ち上げるらしい。
「どーする?」
聞かなくたって、答えは分かっていたけれど。
「決まってるやん」
「だね」
「仕方ないわねぇ……」
「マツリいこー!」
わっ!と盛り上がったあたしたちは、夏祭り会場まで笑顔が絶えることはなかった。
高校最初の夏休み。
昴、奈々、翔太、キョウと作った、たくさんの思い出。
忘れられない、最高の夏。
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