「――…トール」
昴は突然イスから降りて、地面にしゃがみ込んだ。
「え? どうしたの?」
「hug」
そう笑って言って、両手を少しだけ前に出した昴。
「………」
あたしは一瞬の躊躇いもなく、昴の腕に包まれに行った。
「……これは、何のハグ?」
「あえてうれしいのhug」
「……うん」
昴に抱きしめられて、こんなに幸せなことってない。
あたしが好きって言ったら、昴は困る? 離れてく?
……時間が止まればいいのに。
今幸せなこの瞬間を切り取って、永遠に飾っておきたい。
昴が、あたしに逢えて良かったと思ってくれてる限り、そばに寄り添っていたい。
ハグを求められたら、すぐに抱き付ける距離にいたい。
好き。
大好き。
あたしは昴の腕の中で、何度も何度も、愛を伝えた。



