プラチナ王子



「いやいや……は!?」


10人ほど出てきたぬり壁はみんなでひそひそ話をしてから、あたし達をジッと見た。


「にげようトール!」

「へ!?」


昴はあたしの手を握ると、走り出した。


きゃー! 手、手っ!


繋がれた手に興奮していると、どすっどすっと、鈍い音が聞こえて後ろを見る。


「…………」


白いぬり壁たちが両手を上げ、限界まで膝を上げて追いかけてきた。


「キモイィィィイ!」


何あの走り方! 早いし! キモイ! ある意味怖いぃぃい!





「――そっ、そろそろ出れると思うよ」

「はやくでたい……」


このお化け屋敷はとにかく追いかけるのが好きらしい。


体力が限界のあたしと昴の横では、さっきからずっと火の玉が浮いている。


完全に人件費の無駄だと思う白いぬり壁のあとは、落ち武者が追いかけてきたり、井戸から女の人が出てきたり。


あたしよりも昴の方が怖がっていたけど、繋がれた手で安心できた。


「あ、あれ出口だよね!」


出口を見つけてあたしと昴は喜び、細い道を走って出口に向かう。


「やっと出れ……」


──ガシッ!


「「ぎぃやぁぁぁあ!!」」


突然両サイドから青白かったり血まみれの人がたくさん出てきて、あたしと昴を引っ張ったり触ったりしてくる。


もはやご乱心。


暴れに暴れ、何とか出口の外に出てあたしと昴は地面に倒れ込んだ。