「ト、トール、コワくないの?」
すっかり怯えている昴に思わず笑いがこみ上げる。
「あははっ! 昴って怖がりなんだね~。意外!」
「Slasher movieもニガテ……」
ホラー映画も苦手らしい昴はビクビクしながら歩いていて、小動物みたいで可愛い。
王子のこんな姿が見られるなんて! ビバお化け屋敷!
「大丈夫だよ昴! 番犬透が、守ってあげるっ」
「……」
そう振り向いて言ったあたしの背後を見て、昴の顔が青ざめる。
「?」
前に向き直ると、延々と続く道の両サイドにある草むらの右側から、何かが出てきた。
――赤ちゃん、の人形?
キコ……キコ……。
機械らしく、不気味な音を立ててあたしと昴の方に向かってくる。
「か……顔怖いね」
目や口から血が出ていて、お世辞にもかわいいとは言えない様子だ。
赤ちゃんの人形はゆっくりと進んできて、あたしと昴の足下で止まった。
……あれ、何もないんだ。
「大丈夫だよ。先進もう?」
「……ウン」
怖いだろうに赤ちゃんから目を離さない昴に声を掛けて、歩き始めようとした時。
「赤ちゃん……」と、遠くの方でか細い声が聞こえた。
「トトトトール……!」
「なーん! 大丈夫だってば!」
「赤ちゃんどこに居はるか知りまへん?」
え……。



