プラチナ王子



やばいやばいやばい。

こんな至近距離で昴先輩の顔見ちゃったよ! ヒィ! ごめんなさい!


なぜか申し訳ない気持ちになっていると、昴先輩が口を開いた。


「ホケンシツ、いこ?」

「――へっ!?」


理由が分からず反射的に顔を上げると、昴先輩はあたしの膝あたりを見て指差している。


「チ、でてる」


膝を見ると確かに血が出ていたけど、かすり傷で血も流れているわけではなく滲む程度だった。


「大丈夫です! 大したことないですっ」

「ダメ。いこ」

「!?」


ひぃいいいい!!!

すっ昴先輩に! 手をっ、握られ……たっ!


何のためらいもなく昴先輩があたしの手を引いて歩き始め、思考回路はすでにオーバーヒート。



今昴先輩に振り向かれたら、人生終わる。


きっと今のあたしは白目をむいてるだけじゃなくて、口から出してはいけないものまで出ていると思うから。