「奈々がクソとか言っちゃダメ! せっかく可愛いくしたんだから、行こうよ!」
「どうせなら涼しいところが良かったわねぇ……」
そう言う奈々の私服はやっぱりお嬢さま風で、白のカプリパンツにゴールドのベルト、黒のサマーニット。
「モノクロコーデがよくお似合いです」
「透は、まさに透って感じよね」
全身鏡で最終確認する奈々とは全く正反対のあたしの格好。
デニムのショートパンツに白のフード付き半袖パーカー。頭には青のキャップ。
大理石が敷き詰められただだっ広い玄関には、場違いすぎる庶民的なスニーカーが置いてある。
「動きやすさを考えたら、あたしの場合こうなるわけで」
「そうね、正解だわ」
あたしたちは今日、遊園地に行く。
もちろん、昴たちと! キョウはバイトがあるから来れないみたいで、残念だけど……。
昴の私服を初めて見るんだよね! それがもう楽しみで楽しみで夜も眠れなかったとか嘘だけど、とにかく楽しみすぎて早く会いたい!
かっこいいかなぁ……かっこいいよね絶対。
想像するだけでニヤニヤしちゃう!
「透」
「なぁに奈々っ」
「その顔気持ち悪いわ」
「………」
何はともあれ、遊園地にゴーッ!