からっと晴れた空に、蒸し暑い空気。
夏です! 夏休みです!!
「忘れてたくせに」
青空に向かってバンザイして喜んでいると、後ろから冷めた奈々の一言。
「再テストのことで頭がいっぱいだったんですぅー!」
「その再テストが夏休みに補習するかしないかのテストだと、知らなかったのよね?」
「……」
クスクス笑う奈々は高級そうなソファーに座り、これまた輝きの違うグラスでアイスコーヒーを飲んでいる。
「……相変わらず、お嬢様らしい部屋だよね……」
何度来ても、奈々の部屋は見渡さずにはいられなかった。
あたしの部屋の4倍はあるんじゃないかってくらい広い。
淡いピンクのカーペットに白いお姫様ベッド。カーテン、テーブル、ソファー、ドレッサー。見渡す限り、白と薄ピンクが交互に綺麗に配置されている。
ふりふりのレースと生花なんて、あたしの部屋にありませんけど……。
「言っておくけど、私の趣味じゃないわよ」
「分かってるよー」
奈々は、黒とか金ってイメージだもんね!
「そろそろかしらね」
奈々はチラッと壁に掛かる時計を見てから、あたしに微笑む。
「こんなクソ熱い日に、出かけたくないわ」
「……」
その綺麗な顔と可愛い部屋に、なんて似つかわしくない言葉なんでしょう……。