「わぁー! やだやだ! 言わない!」
「すいません先生。この子最近情緒不安定なので、保健室に連れて行っても?」
「情緒不安定!? いや、まあ……三神が連れていくなら……」
「逆戻りなんて嫌だっ!」
「どうぞお気になさらず授業再開なさってください。……ほら行きましょう」
ご乱心のあたしをクラスメートが何事かと見てる中、奈々に連れられて教室を出た。
嫌だ! 告白なんてしない! 昴のそばにいられなくなるなんて考えられないてか考えたくない!
廊下に出てしばらく歩くと、奈々にバシィンッ!と頭を叩かれた。
「落ち着きなさいよ。うっとうしい」
「好きなんて言わないぃぃ~」
ぐずぐず泣くあたしを見て、奈々は溜め息をつく。
「告白じゃなくて、アピールすればいいじゃない」
「……アピール?」
「積極的になりなさいってこと」
積極的………?
歩き出した奈々についていくと、とんでもない人物の名前が耳に入った。
「例、ゆっこ先輩」
「いやだよ! ていうかウザがられるっ! 昴いつもゆっこ先輩相手だと困った顔してるじゃん!」
「それは苦手だからでしょう? 昴は透のこと苦手でもなければ、嫌いでもないわよ」
「分かんないじゃん、そんなの」
今は犬扱いだからいいけど……。
あたしがゆっこ先輩みたいに必殺ボディータッチを繰り出したり、何気ない会話でも好きとか言って積極的になったら、昴は困って離れていくかもしれない。



