「……ついてる。スナ」
ぎぃやぁぁあ!! すばっ、昴先輩がっ! まさかっあたしの髪をっ、頭をっ、触ってる!?
恐る恐る見上げたら昴先輩が伏し目がちに目の前に立っていて、すぐさま視線を落としてしまった。
し、心臓止まるかと思った! 無理っ、昴先輩の顔を直視するなんて! しかもこの距離で!
あたしは真っ赤になって、ひたすら昴先輩の足下を見てるだけ。
ぱっ……ぱっ……と、嘘みたいだけど昴先輩があたしの髪についてる砂を払ってくれる。
……頭、撫でられてるみたい。
かぁーっと、また顔が熱くなる。
ドキドキしすぎて寿命縮みます、昴先輩。
頭を撫でられる感じが消えたと思ったら額を人差し指で押され、あたしの頭は強制的に上を向く。
「トレタ」
笑って細くなった深いブルーの瞳と目が合って、ドッ!と大きく心臓が跳ねた気がした。
「……っす、すみませ、ありがとうございます!」
思わず横を向いたあたしの心臓は信じられないくらいバクバクいってる。



