プラチナ王子



喜びの鼻歌を歌いながら赤いハイカットのスニーカーに履き替えて、昇降口を出る。



「そのようすだと、ごーかくだネ」

「――……」


持っていた携帯を操作しようとした手も、今にもスキップを始めそうだった足も止まった。


「ヨカッタ」


振り向けば、今まさに電話しようとしていた昴が微笑んでいた。


「な……なんで?」


傘立てに浅く腰掛けていた昴は、あたしの手に握られている答案用紙を指差す。


「ナンテン?」

「……88点」

「Really!? スゴいトール!」


勢い良く立ち上がってまで驚いて、すぐに笑顔を見せてくれる昴に目頭が熱くなった。


泣きそう……。


「昴が、教えてくれたから……」

「ウン、しんぱいで、きになってまちぶせしちゃった」


照れ臭そうに笑う昴の笑顔が、夕焼け色に染まる。



……今すぐ抱きしめたい。


包み込むような優しさに、いつも身を委ねるばかりで。


だけど今日は、高まった気持ちを抑えられそうにない。