プラチナ王子



気付けば空は薄暗くて、時計を見ると6時をすぎていた。


「――すばっ、ごめん! じっ、時間っ」


カバンを持って席を立った昴は、不思議そうにあたしを見る。


「ジカン?」

「6時すぎてる! ごめん!」

「ヘーキだよ?」

「だって、見たいテレビとか! 夕飯の時間とか! すぎてない!?」

「トールは、すぎてるんだね」


クスクス笑う昴に、笑い事じゃない!と突っ込みたい。


「あたしはいいんだよ! あたしがバカだから……ごめんね昴ーっ」

「オレがおしえたくて、おしえたんだから、きにしないで」


……なんて優しいの、昴。見たいテレビあったよね。お腹すいたよね。


あたしなんかが昴の時間を拘束するなんて! おこがましい!


俯いてしまっていたあたしは申し訳なさから再び謝る。


「ほんとにごめんね」

「……sorryより、Thanksがいい」


へ……。


顔を上げると、昴は優しく笑っていた。


「……~っあ、ありがとう! ほんとにほんとに! メニーサンクス!!」

「あははっ」


昴はぽんっとあたしの頭を軽く叩いて、「かえろー」とまた笑ってくれた。



きゅーん……と今まで何度ときめいたか分からない胸が、火照る全身が、昴を好きだと言ってる。



……だめだよ……。

これ以上、好きになれない。
好きすぎて、欲張りになる。


あたしをの頭を撫でてくれたその優しい手を取って、握り返せたら……。その手に抱きしめられたら、どれだけ幸せだろう。



欲張りな心をぎゅっと抑えて、夏空の下を、並んで帰った。