「ちょっとー! 何で!? 授業始まる!」
遅刻したら怒られる! 奈々に、嘘ついてんなよテメェこのって目で見られる!
その姿を想像しただけで、ブルッと身震いしてしまう。
もう諦めて教室に持っていこうか。そう思って最後にもう一度、力いっぱい扉を引き開けた。
「開けバカっ!!」
――ガラガラガラッ!!
「ぎゃあっ!!」
ビクともしなかった扉が急に軽くなって、開いたドアにそのまま引きずられてしまう。というより、こけた。
「痛い!!」
「sorry」
頭の上から声がして、反射的に顔を上げる。
「――すっ……!!」
昴先輩!? は!? 幻!?
目を疑っても、大きく見開いた自分の目に映るのは紛れもなく学校の王子。
あたしの大好きな昴先輩が、立っていた。



