「昴は、帰らないでほしい?」
「ウン」
「じゃあ、透とあっちで待ってるわね? ……ごゆっくり」
これでもかとばかりに微笑んでみせる奈々とゆっこ先輩たちの間に、ピシャーンッ!と雷が落ちたような気がした。
な、奈々……! ゆっこ先輩がすごい怖い顔してるよ!?
ハラハラするあたしを気にも留めず、奈々はあたしの手を引きながら、昴先輩たちの席が見える少し離れた席に移動した。
「アイスコーヒー飲みたいわ」
「うんっ! 頼もうかっ! 頼んであげる! すいませーんっ」
ご機嫌ナナメの奈々ちゃんに変わって店員を呼び、アイスコーヒーとミルクティーを頼んだ。
「あぁ不快だわ……腹立たしい……。ああいうタイプの人って、私嫌いよ」
奈々は眉を寄せながら頬杖をついて、不機嫌オーラを纏う。
「……先輩たち怒ってたよ? 絶対」
「やぁねぇ、わざとよ。神経逆撫でしてあげたのよ」
「勘違いもしてると思うよ?」
あんな風に会話したら、昴先輩との仲疑うって……。
「最高じゃない」
「嫌がらせされたらどーすんのさっ」
「透に嫌がらせされるほうが嫌だったのよ」
「もう奈々ぁ~……」
ゆっこ先輩は今まであたしを睨んでたけど、絶対標的を奈々に変えたと思う。
奈々があんな風に会話なんてするからっ!
ほんとジッとしてられないよね! あたしに言われたくないだろうけど!



