「てか、来たかったんならうちらを誘ってよ~」
「トールに、ムリヤリついてきただけ」
「無理やり~? ……迷惑じゃんっ! ねぇ?」
突然ゆっこ先輩に話を振られたけど、あたしは首を横に振る。
「迷惑じゃないです。大丈夫です」
おっふう……睨まれちゃいましたよ。
あたしが視線を逸らすより先に、ゆっこ先輩は昴先輩の肩に手を置いた。
「つかこの後暇!? 遊ぼーよ!」
「暇なわけないやろっ!」
「暇でしょー? ねぇ昴っ」
「んー?」
「俺ら今後輩と遊んでんだって」
「えー、いいじゃん!」
何やら堂々巡りで終わらなそうな会話に、あたしと奈々は顔を見合わせる。
「あの……あたしたち、ちょっとお手洗いに……」
「あっ、ごめんねぇ? 行ってらっしゃーい!」
いやあなたたちに言ってねーっ!
そう心の中で突っ込みながら、あたしと奈々は席を立ってお手洗いに行く、ふり。
手洗い場のドアを開けた途端、同時に出る溜め息が虚しい。
「うざったいわねぇ……」
「睨まれたよ!」
奈々は持ってきたポーチの中から携帯ブラシを取り出して、鏡を見ながら髪をとかし始めた。
「ゆっこ先輩ですっけ? あれ、昴先輩のこと好きよ絶対。ウザイくらいに」
「後ろにいた2人も、翔太とキョウのこと好きだと思うんだけど……」
「グループ交際の真似かしら? ウザイわね」
奈々……ウザイ言いすぎでは……。



