「いいこだネ、トール」
「そうでしょう? 私、透のこと大好きなの」
「奈々~……あたしもだから、もうやめてっ!」
恥ずかしくて死んじゃう。みんな笑うしさ。
そもそも、あの頃は奈々が実は腹黒い性格だなんて知らなかったんだよ!
あたしはものすごく美人でか弱そうなお嬢様だと思ってたのに、仲良くなって暫くしたらまさかの本性が……。
思い出してブルッと身震いすると、微笑んでいる昴先輩と目が合った。
「……?」
微笑んでますけど、何でしょうか。
サービス? 微笑みの無料サービス? 有難く受け取りたいけど、美しすぎて顔赤くなります、昴先輩……。
「あれー!? 昴たちじゃん!」
突然の声に驚き、声の主に、驚く。
カフェに来店したのは見覚えのあるギャルの先輩と、他に同じような女の先輩が2人。
ゆっこ先輩御一行でしたか……。
「ウケるーっ! 何してんのー?」
出たーっ! 必殺ボディタッチ!
ゆっこ先輩御一行はあたしたち5人が座る席に駆け寄ってくるなり、グロスが艶めく唇を動かし続ける。
「cake、たべてた~」
「昴って甘党だもんねぇ! ウケる可愛い~!」
「お前らも食いに来たん?」
「翔太とキョウまで食べてたの!? 超ウケんですけど!」
ウケるしか言わないんですか…?



