「え? 屋上って入れるん?」
「……立ち入り禁止じゃなかった?」
翔太とキョウの的確な突っ込みに、あたしは息を止める。
「どして? トール」
聞かないでください。お願いだからもう、聞かないでください。
目を泳がせてみるも、4人の視線が痛い。
「透、悪い子なんですよ」
「奈々だってあたしと一緒に屋上入るくせにぃいいい!」
「吐けや透~っ!」
面白そうに笑う翔太と、目を輝かせてる昴先輩に負けました。
「……鍵を」
相変わらず目を泳がせると、翔太がパチンと指を鳴らす。
「職員室からパクるんやろっ!」
「もっとヒドいわよね?」
奈々の悪魔!
「借りて……スペアキー作った」
「「サイコー!!」」
げらげら笑う翔太とキョウから昴先輩に視線を移すと、やっぱり可笑しそうに笑っていた。
「ホンマ、さすが透やな! それいつやったん!?」
「い、いやぁ~……いつだったかなぁ?」
「入学式よね?」
ぎょえー!! 奈々のボケ!!
「あはははっ! 赤点パレードの上に……っ合鍵まで……くくっ」
ああ最悪! 何なの!? 今日はあたしの私生活っていうか学校生活のダメっぷりがバレる日なの!?
「ホンマおもろいな自分。これから屋上入れるやんけ!」
「ネッ! ――トール。こんど、いっしょしても、いい?」
翔太先輩に向けられていた笑顔が、今度はあたしに向けられる。
柔く細めた目元の奥に、深いブルーの瞳。そこに映る自分にぎゅう、と胸が苦しくなって、小さく頷いた。
「……もちろんです」
昴先輩が、望むなら。



