プラチナ王子



サボり癖は確かに治らないけど、遅刻癖はマシになったのになぁ……。


登校する昴先輩を毎朝見るために、頑張って起きるようになっただけだけど。



ふと風が吹いて空を見上げると、昴先輩の瞳と同じ色が広がっていた。


……空ってより、海のイメージかな?


海……海かぁ。もう、夏になる。早く、夏休みになんないかな。


……あ。でも、夏休みになったら昴先輩を見れなくなっちゃう。


昴先輩、補習とかで学校……来ない来ない。あたしの頭と昴先輩の頭が同じなわけないじゃん!


そんな事を考えながら校庭からだいぶ外れにある体育倉庫に着き、横に開く扉に手をかける。


……あれ?


「開かないんですけど……」


んん?


首を傾げると予鈴を告げるチャイムが校庭に響き、一気に焦りがつのった。


ちょ、開かないって何だ! いっつも鍵開いてるじゃんか!!


がこっ、がこっと間抜けな音をたてながら扉を必死に開けようとするものの、ビクともしない。