「アイリーン・オスバルト。君の力をわたしたちに貸してほしい」

 昼下がり。

 突然現れた王家の紋章をつけた男たちはそういうなり頭を下げた。

「魔物が現れたことはご存知でしょう」

「ええ。魔物対策ということでしょうか」

 いずれはこんな日が来るだろうとうすうす感じていた。

「ああ、力を貸してほしい」

 魔物対策にわたしにかけられた封印を解くことになるのだろう、と。

「もちろんです」

 わたしは二つ返事で答える。

 ずっとそう言うつもりでいた。

 名もなきキャラクターは、これからも自身で自分の物語を切り開いていく。