「何そのまぬけな返事」
「だって……。それ以外に思い浮かばなかったの! 仕方ないでしょう? プロポーズなんて初めてなんだもの」
「ミレイナらしくていいけどね」
セドリックがあまりにも揶揄うものだから、ミレイナは頬を膨らませるしかなかった。年長者らしく、もっと素敵な言葉を返すつもりだったのに。
楽しそうに笑っていた彼が、急に真面目な顔でミレイナを見下ろした。
「ミレイナ、愛してる。ミレイナは?」
「もちろん、わたくしもセドリックのことが大好き。愛しているわ」
セドリックは嬉しそうに笑うと、ミレイナから薔薇の花束を奪って、椅子に転がした。
彼がミレイナの腰を抱き寄せて、花束が消えてできた空間を埋める。
彼の長い睫毛が数えられそうなくらい近づいて、ミレイナは瞼を落とした。
重なった温もりと、二人を包み込む高貴な香り。
きっと、毎年ベスタニカ・ローズが咲くと思い出すだろう。
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