朝、夜、劣情。

「苦しいのが好きなら、痛いのも好きだろ」

 低く囁かれた言葉は、舞緒の好みを決めつけるようなそれだったが、実際にその通りであるために否定はできなかった。首絞めに興奮し、そして今も、吐息混じりの喘ぎ声が漏れてしまうくらいには興奮していた。加減をしない朔夜は舞緒の肌に爪を立てて皮膚を捻っている。地味に涙が溢れてしまいそうな痛みであるはずなのに、舞緒はまるで性感帯を刺激されているかの如く身を捩り続けた。

 腹部を中心に与えられる苦痛と、それによる快感に、自然と前のめりになってしまいながら敏感に身体を揺らす舞緒は、次第にもどかしさのようなものを覚え始めていた。指示を出してくれれば、あの時の強烈な快楽をまた味わえる気がするのに、朔夜はいつまで経ってもその言葉を口にしてくれない。直で触ってくれるわけでもない。舞緒は落ち着きなく足をもじもじさせてしまっていた。

「"Freeze(動くな)"」

 その行動が朔夜の気に障ってしまったのか、求めていたものではないコマンドを冷たく吐かれてしまった。逆らうことなどできるはずもなく、まだ我慢させられたまま息を詰めるようにして静止する。皮膚に減り込む朔夜の爪と指は、位置を変え、角度を変え、懲りもせずに舞緒の肌を傷つけ続けている。その度に身体が反応してしまいそうになるのを堪えなければならない。できなければコマンドに背くことになるのだ。

 身を強張らせる舞緒は、何をされても動かないよう自分を制御しようと必死だったが、容赦のない朔夜にひたすら攻められ続け、早くも限界に達していた。被虐嗜好を大いに刺激され気が狂いそうになっている舞緒は、切羽詰まったような荒い呼吸を繰り返しながら、一人でに昇り詰める。思考が酩酊する。