あめだまの色を探して



.

「ふぅ〜つかれた」


そうやって独り言を言いながら、部屋のベッドにダイブする。

大好きなかわいいくまのぬいぐるみを抱えて、スマホを手に取る。

結局傘、家まで持ってきちゃった。

あの後、お兄ちゃんの卒業式は無事に終わって家に帰ってきた。

傘を貸してくれた和泉くんだっけ?
まあ感謝してます。

「あっ!」


スマホをいじっていて気づいた。
まだ連絡してない!

『学年一』の美少女なんだから、ちゃんとしなきゃ。


“和泉”と表示されている連絡先をタップして、早速トーク画面に行く。

《今日は傘ありがとうございました。3年2組の羽月(はづき)結茉(ゆら)です》

んー、なんか堅苦しいかな?

文を考えてそう思ったら、また振り出しに戻る。

こういう一人一人にしっかり対応することが、学年一の美少女への大切な道のりなの。突っ走ってはいけない。