「結茉?帰らないの?」
「あ、帰ろ」
教室の窓から雨を眺めていたら、親友で幼馴染の和奏に話しかけられた。
いけない、早く向かわなきゃ!
今日はお兄ちゃんの卒業式なんだから。
私が友達にお兄ちゃんの話をすると、よくブラコンだねぇって言われるけど、よくわからない。
だって、お兄ちゃんの卒業式に出席して、お洒落するのは当たり前じゃないの?
お兄ちゃんの妹っていう肩書きがある以上、私は気が抜けない。
「和奏ー!先生が呼んでる」
「えっうそ、ごめん結茉先帰って〜!」
「あ、うんいってらっしゃい」
和奏が先生に呼ばれてしまったので、しかたなく1人で階段を降りる。

