陛下はいったいどんな話をするのかきになるけれど……そこはもう、わたくしには関係ないこと。

 そして、婚約を認めてもらおうと両親のもとに向かったら、あっさりと許可がもらえた。

 その後――グレアム殿下とエミリアはいろいろあったけれど、結婚は認められたみたい。良かったね。

 ただし、結婚後は平民として生きていくことを伝えられたらしい。

 もちろん、それに彼らはものすごく抵抗したみたい。

 陛下には『真実の愛』をつらぬけ、と言われたらしい。……伝え聞いた話だから、詳しくは知らないのだけど……

「……ルイス殿下、どうしてわたくしのことを婚約者にしてくださったのですか?」
「……あなたがいつも、耐えている姿を見ていたから……では、おかしいですかね?」

 わたくしのことを、見守ってくださっていたのね。

 それが少し……いえ、とても嬉しくて、心の底から笑顔を浮かべることができた。

 ……ちなみに、エリミリアが仲良くしていた婚約者のいた男性たちは、軒並みフラれたそうだ。娘を大事にできない男はいらん、とのこと。

 貴族の結婚は義務だけど、エミリアに引っかかるような人は……やっぱり不安になっちゃうわよね。当然といえば当然の結果かもしれない。

 グレアム殿下とエミリアの頭がもう少し考えれば、計画的に婚約破棄できただろうに。

 証拠って大事よね。仕掛けていた良かった、録音機。……いやな予感がしていたとはいえ、本来なら勝手に録音するのは責められることだろう。