――2年前―― 
 金曜日の夜、少し遅れて合コンの席に行くと、すでに私以外の参加者は全員席についていた。
 女性側は先輩の同期、男性側は主に冬堂製薬のMRだった。
 その中には先輩のお目当ての人がいて、その人と隣の席になった先輩は嬉しそうに話していた。
 正直行きたくなかったが、その姿を見て、来て良かったと思った。先輩にはとてもお世話になっていたから。
 私はアルコールに強くないので、食事が終わったらすぐに帰るつもりだった。
 ところが、男性陣の勢いに断り切れず二軒目に連れていかれた私は、少しカクテルを飲んだ後、その場で寝てしまったのだ。
 気づけば広い個室の中で、合コンにいた男性一人と残されていた。

「すみません……私、寝ちゃって……」
「いや、気にしなくていいよ」
「あの、皆さんは……?」
「ん? ああ、カラオケに行くって」
「え、じゃあ金森さんも」
「愛茉ちゃん置いていけないでしょう。それより目が覚めたんだったらさぁ――」
 そう言って、金森さんは私のほうへ近づいてきた。