「…音、鈴音」
誰かに身体を揺さぶられる気配で私はゆっくり目を開け…。
「わっ!」
思わず大声を出してしまった。だって目と鼻の先に隆司さんの顔があったから。
「あ、あの。隆司さん。何でしょうか?」
まだドキドキする心臓を押さえながら隆司さんを見た。
「ここが鈴音の家なのか?」
窓の外を見ながら隆司さんが言う。私も慌て窓から外を眺めると、そこは間違いなく我が家だった。
「あ、はい!ここです。それで…運賃はいくらでしたか?」
すると隆司さんは言った。
「大丈夫、もう払ってあるから」
「払って…ってえええっ?!」
すると運転手さんがこちらを見ると言った。
「お客さん…降りないのですか?」
「あ、すみません。降ります」
するとドアがガチャリと開けられ、私は降りたのだけど、何故か隆司さんも一緒に降りる。
「あの…?」
何故隆司さんは降りたのだろう?だけどタクシーはまだ停車しているし。
「ここが鈴音の家なんだな。うん。覚えておくよ」
隆司さんは家の門に立つと言った。
「あの…?」
不思議に思い、首をかしげると隆司さんは振り返って私を見た。
「鈴音。また…会ってくれるよな?」
「え…?」
「それとも誰か付き合っている男でもいるのか?」
「まさか!そんな人はいませんよ!」
慌てて、手と首を振る。そう、私には付き合っている人はいない。ただ、ずっと好きだった人はいるけども…。
「なら…いいよな?」
次の瞬間、隆司さんに右手をグイッと引かれ、気づけば隆司さんにキスされていた。
「!」
あまりにも突然の事で、頭の中が真っ白になる。隆司さんは唇を離すと私を強く抱きしめ、耳元で囁いてきた。
「俺はまだ…鈴音の事が好きだ」
「…!!」
突然のキスと告白で思わず顔が真っ赤になる。すると隆司さんはフッと笑みを浮かべ、もう一度唇を重ねてきた。更に頭の中がパニックになる。
「お休み。鈴音。」
「あ…は、はい…」
返事をするのがやっとだった。隆司さんはフッと笑みを浮かべ、再びタクシーに乗り込む。
隆司さんがタクシーに乗ると、すぐにドアは閉じられ、あっという間に走り去ってしまった。
「隆司さん…」
思わずポツリと呟くと背後に人の気配を感じ、慌てて振りむくと…。
「りょ、亮平…。」
そこには不機嫌そうに立っている亮平がいた―。
そんな…まさか、今の亮平に見られた?心臓の音がドクドク耳障りなくらいに煩い程なっている。
「鈴音…お前なあ…」
亮平はため息交じりにこちらへ歩いて来る。
「男といちゃつくのは別にかまわないが、もっと場所と状況考えろよな?大体ここは家の前なんだ。忍さんに見られたらどうする?おまけに忍さんは今1人ぼっちで家にいるんだろう?着いたらすぐに家に帰ってやるのが思いやりってものじゃないのか?」
その言葉に私は顔が思わず赤く染まる。やっぱり亮平に見られていたんだっ!
でも…そんな言い方しなくても…。思いやり…。私は一時でも亮平にお姉ちゃんの様に思いやって貰ったことがあっただろうか…?
「ごめん…なさい」
身体を震わせて、私は一言…やっと言葉にすることが出来た。
「謝るなら俺じゃなくて忍さんに言えって言っただろう?まあいい、早く家の中へ入ろう。俺も謝ってやるから」
亮平の言葉に私は尋ねた。
「え?どうして亮平まで謝りに行くの?」
「当り前だろう。2人とも忍さんを待たせてしまったんだし…そ、それに…」
亮平は何故か顔を赤らめながら言う。
「お、俺は忍さんの恋人なんだから、恋人の顔を見に行くのはと、当然だろう?」
その様子を見て私は言った。
「うん、そうだね…」
やっぱり、亮平は私の事…何とも思っていないんだね?だって目の前で男の人とキスしているのを見ても、なんとも思っていないんだもの。
私は思う。
なんて自分は不毛な恋をしているのだろうと――
誰かに身体を揺さぶられる気配で私はゆっくり目を開け…。
「わっ!」
思わず大声を出してしまった。だって目と鼻の先に隆司さんの顔があったから。
「あ、あの。隆司さん。何でしょうか?」
まだドキドキする心臓を押さえながら隆司さんを見た。
「ここが鈴音の家なのか?」
窓の外を見ながら隆司さんが言う。私も慌て窓から外を眺めると、そこは間違いなく我が家だった。
「あ、はい!ここです。それで…運賃はいくらでしたか?」
すると隆司さんは言った。
「大丈夫、もう払ってあるから」
「払って…ってえええっ?!」
すると運転手さんがこちらを見ると言った。
「お客さん…降りないのですか?」
「あ、すみません。降ります」
するとドアがガチャリと開けられ、私は降りたのだけど、何故か隆司さんも一緒に降りる。
「あの…?」
何故隆司さんは降りたのだろう?だけどタクシーはまだ停車しているし。
「ここが鈴音の家なんだな。うん。覚えておくよ」
隆司さんは家の門に立つと言った。
「あの…?」
不思議に思い、首をかしげると隆司さんは振り返って私を見た。
「鈴音。また…会ってくれるよな?」
「え…?」
「それとも誰か付き合っている男でもいるのか?」
「まさか!そんな人はいませんよ!」
慌てて、手と首を振る。そう、私には付き合っている人はいない。ただ、ずっと好きだった人はいるけども…。
「なら…いいよな?」
次の瞬間、隆司さんに右手をグイッと引かれ、気づけば隆司さんにキスされていた。
「!」
あまりにも突然の事で、頭の中が真っ白になる。隆司さんは唇を離すと私を強く抱きしめ、耳元で囁いてきた。
「俺はまだ…鈴音の事が好きだ」
「…!!」
突然のキスと告白で思わず顔が真っ赤になる。すると隆司さんはフッと笑みを浮かべ、もう一度唇を重ねてきた。更に頭の中がパニックになる。
「お休み。鈴音。」
「あ…は、はい…」
返事をするのがやっとだった。隆司さんはフッと笑みを浮かべ、再びタクシーに乗り込む。
隆司さんがタクシーに乗ると、すぐにドアは閉じられ、あっという間に走り去ってしまった。
「隆司さん…」
思わずポツリと呟くと背後に人の気配を感じ、慌てて振りむくと…。
「りょ、亮平…。」
そこには不機嫌そうに立っている亮平がいた―。
そんな…まさか、今の亮平に見られた?心臓の音がドクドク耳障りなくらいに煩い程なっている。
「鈴音…お前なあ…」
亮平はため息交じりにこちらへ歩いて来る。
「男といちゃつくのは別にかまわないが、もっと場所と状況考えろよな?大体ここは家の前なんだ。忍さんに見られたらどうする?おまけに忍さんは今1人ぼっちで家にいるんだろう?着いたらすぐに家に帰ってやるのが思いやりってものじゃないのか?」
その言葉に私は顔が思わず赤く染まる。やっぱり亮平に見られていたんだっ!
でも…そんな言い方しなくても…。思いやり…。私は一時でも亮平にお姉ちゃんの様に思いやって貰ったことがあっただろうか…?
「ごめん…なさい」
身体を震わせて、私は一言…やっと言葉にすることが出来た。
「謝るなら俺じゃなくて忍さんに言えって言っただろう?まあいい、早く家の中へ入ろう。俺も謝ってやるから」
亮平の言葉に私は尋ねた。
「え?どうして亮平まで謝りに行くの?」
「当り前だろう。2人とも忍さんを待たせてしまったんだし…そ、それに…」
亮平は何故か顔を赤らめながら言う。
「お、俺は忍さんの恋人なんだから、恋人の顔を見に行くのはと、当然だろう?」
その様子を見て私は言った。
「うん、そうだね…」
やっぱり、亮平は私の事…何とも思っていないんだね?だって目の前で男の人とキスしているのを見ても、なんとも思っていないんだもの。
私は思う。
なんて自分は不毛な恋をしているのだろうと――



