今日の真夏は、授業中の落書きがバレて、古典の先生に教科書で頭を叩かれて
クラスメイトに爆笑された。
真夏は、昔からメンタル強いので気にしていなかった。
昼休み、伊賀日向を探しに1組へ行った。

「すいませーん!私の彼氏の伊賀日向くんいますか~?」
1組の女子が「伊賀君、友達と屋上で食べるって走って行ったよ。」
真夏は、お礼を言って、屋上へ猛ダッシュした。

一方、1組は「あれが3年3組の名物モンスターなのか。」「台風みたいな子だな」と
噂になったのは、知るまでもない。

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「柳がいないとちょーーーーーー気が楽だわ。」
「伊賀、お前、ちょっとは、彼氏らしくしてやらねぇと柳がかわいそうだろう。」
「別にかわいそうでもねぇって。アイツ、意外とメンタル強いんだって」

そんな会話をしてると屋上のドアの向こうの階段から、ドスドスと上がってくる気配を感じた。
日向は、「嫌な予感がする」と察知した。
その時、ドアがバーーーーーーーーン!と開き、「ひゅーーーーがくーーん!」と抱きつかれた。

「やめろ!くっつくな!暑苦しい!」
頭をパシパシ叩いて、ようやく、真夏は離れてくれた。
「なんで先に屋上に行くのよ!一緒に食べるって約束したのに!」
「OK出してねぇって!それより。お前、古典の時間で先生に頭、叩かれてただろう。」
「あ、見た?見たの?」
「バッチリ見た(笑)」

日向は、うっぷんはらすかのように笑った。
「見事な傑作だな。3年3組の怪物モンスターで台風女がいるって話題になってたけど
まさか本当だったな」
「誰?怪物モンスターで台風女って」
「お前しかいねぇだろう!」

相澤と小田は、二人の会話を聞いて、大笑いした。

「いや~。二人は、本当にお似合いだな。」
「まるで夫婦漫才見てるみてぇ!」
「夫婦漫才してねぇよ!勝手にこいつがボケてくるだけだ!」

日向は、全力で否定した。

「早く食わねぇと昼休み、あと10分で終わるぞ」
「えー!ちょっとそばにいてよ!」
「知るか!教室にも戻らねぇと3組、今日、数学だろう。あのこわーーーーい林田先生に
叱られるぞ」

真夏は、脳内で林田先生の怖い顔を思い出して、教室に戻ることにした。
日向は「あいつ、大丈夫かな」と密かに心配はした。

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3組

「あんた、まだ弁当食べてるの?日向君見つからなかったの?」
「行ったとき、すでに食べ終わってたの!」

ミキと会話してると、林田先生が来た。

「おい。柳、まだ弁当食ってんのか?早くしろ!」
「あほ、ほふんはっへくらはい!(あと、5分待ってください!)」
「何言ってるかさっぱりわからん。まぁ、いい先に授業初めてるから食べ終わったらノートをとりなさい。」

周りから「柳、頑張れー!」とエールが送られた。
ミキから「まぁ、どんまい」と言われた。

ようやく食べ終わった真夏は、急いで教科書とノートを出して、ノートを全力でとる。
あら?先生、どこをやってるんだ?

「すいません!先生、今、どこやってますか?」
と聞いたら、林田先生は
「柳、それ、数学Ⅰの教科書だ。今日は、Ⅱをやるって全開の授業で言ったぞ。」
よく見たら教科書違った。
「お前、いくつになったんだ。18歳の高校生が教科書忘れるとか恥ずかしいと思いなさい。
今日は、隣の子に見せてもらいなさい。」

クラスメイトは、大笑い。隣のミキも苦笑しながらも「相変わらずだね」と見せてくれた。

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帰りの時間

真夏は、日向を探す。だが、どこにもいない。
連絡しようにも連絡先知らない。

「一組!一組!伊賀日向くん、どこにいますか?」
1組の子が「今日、部活だよ。日向君、サッカー部だよ。」
グラウンドをよく見れば日向がいた。
「ありがとう!」と言って、急いでグラウンドに向かった。

日向は、部活を楽しんでた。部活時間だけ真夏のこと忘れようとしたのだが
「ひゅーーーがくーーーん!」
と真夏の声が聞こえたため、げっそりした。
顧問の先生から「彼女?」と言われた。否定したい!全力で否定したい!
だが、疲れてそれどころじゃない。

「今日、部活だなんて知らなかった!」
「お前も早く部活しろよ」
「万年帰宅部です♩」

日向のイライラがマックスになった。

「早く帰って勉強してご飯喰って風呂入って寝ろ!」

グラウンドに真夏の奇声が響いた。

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ドヨーーーーン

と効果音が聞こえてきそうな真夏の落ち込みっぷりにご近所から心配の声がかかった。

「真夏ちゃん!どうしたの?!」
お隣のおばさんが心配して声をかけてくれた。
「わだじ、がれじにぎらわれだぁぁぁぁぁ!」
「まぁまぁ。真夏ちゃん、明るくていい子なのに。大丈夫よ。彼氏さんとすぐ仲直りできるわよ」
「ありがとうございます!」

「ばーーくしょい!」
「おい。伊賀!集中しろ!」
「すいません!」

誰かが噂でもしてるのだろうか?いや、ありえない。
そう思って、日向は、練習に集中した。

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次の日、真夏は、日向を見つけると

「日向君!」
「ぎゃ!柳、どうした!?」
「昨日は、ごめんなさい!」
「は?何がだ?」

真夏は、日向に思い切って、昨日、部活の邪魔したことを謝った。
すると、日向は
「別に気にしてねぇよ。お前が真剣に謝るなんて珍しいな。台風でもくるのか?」
「失礼な!」
「いや、だって。お前、どんなに恥ずかしいこととか嫌なことあってもめげない鋼のメンタルの
持ち主だから。お前、やっぱ人間なんだな!」
「私を何だと思ってたの!」
「宇宙人か新種の人間か何か。3年間ずっと別の生き物だと思ってたから。」

真夏は、むきー!となって、日向を追いかけた。
今朝から珍しく二人が楽しそうに追いかけっこしてるので、3年3組は
「1大スクープ!伊賀&柳、愛の逃避行」
と騒ぎになったとかならなかったとか。

教室に行くと、真夏はクラスメイトからひゅーひゅー!と言われた。
なんのことかと思ったが、ミキから
「あんた、グラウンドで伊賀くんと追いかけっこしてたでしょ。で、この騒ぎ」
と教えてくれたのだ。
「あ~。納得」

ミキは、それでいいのかと思ったが、これ以上言ってもたぶん、無駄だと察した。

朝のグラウンドから真夏を恨めしそうに見てた女子生徒がいて、真夏は、恨みを買ったことに
まだ知らない。

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帰りの時間

下駄箱を開けると真っ黒い封筒が入ってた。

「誰かからラブレター?私には、日向君がいるからな。ほへ?」

”七日以内に手紙100通書かなければ、お前は、死ぬ。Byいなくなっちまえ委員会より”

真夏は、怯え、急いで日向に相談しに行った。
「日向くん!手紙書くの手伝って!一人で100人は無理!」
「バカか!こんなのは、イタズラに決まってるだろう!お前、そんな性格だから
恨みでも買ったんじゃねーの?」

真夏は、「そっか」と言い、日向は、「やっとわかったか」とあきれた。

「何か嫌われるような心当たりあるか?俺から見たら嫌われる要素100個ぐらい出てくるぞ」
「ほぎゃ!なんで!私、明るくて優しくてかわいいってご近所から評判で」
「ほざけ!」

日向と真夏は、帰路についた。