とある高校。

伊賀日向は、友達からの罰ゲームで隣のクラスの柳真夏にドッキリで告白するはめになった。
ドッキリでもこれは、嫌な想いするだろうなと日向は、3年3組と書かれた教室に着いて、柳真夏を呼び出す。

「柳真夏さん、いる?」
呼びかけると、一際、バカ明るい声が返ってきた。
「はいはいはーい!私!私が柳真夏です!」
ビシッと自衛隊の敬礼のように決めた。


「(こいつが、柳真夏?嘘だろう)」

日向は、げんなりした。
見た目は、可愛いが、性格は、もっと大人しいと思ったからだ。

「あ、あの。僕と付き合ってください!」


シーーーーーーーン


「(おい!全員の沈黙、キツイって!おかんに叱られる時の空気みてぇでちょーキツイんですけど!頼む!断ってくれ!まじで!)」

日向は、心の中で何度もフラれたい一心だった。
次の瞬間

「マジ?!うち、告られたの初めて!やばーい!いいよ!」
「よっしゃあ!柳と伊賀、カップルせいりーつ
!」
「ひゅーひゅー!婚約会見!婚約会見!」

「ちょっ、これ、罰ゲーム」

「柳、おめでとう!伊賀、まぢカッケェ!」

誰も罰ゲームという単語を聞いてない。
誰も日向の話聞いてないのだ。

「(こいつら、バカなのか?3組だけバカの集まりなのか?)」
「伊賀くん、柳のどこ好きになったんですか?笑」

教科書丸めてマイクに見立てた男子1名が話を振る。

「えっと・・・・元気で明るいとこ・・・・かな。ははは」
「意外!伊賀くんは、むっつりスケベって噂があったんですが、それ、なんでしたの?」

誰だよ!俺の嘘の噂流した犯人は!

「柳さん!今のお気持ちはいかがですか?」
「はい!すっごい嬉しいです!例えるなら、幻のネッシーを見つけた気もちです!」

どんな例えだよ!もっとあるだろ!ホームラン打ったような気もちとか!

「なんだよ、それ!柳、最高!」

3組には、バカウケだ。
ああ、このクラス、柳(=こいつ)の明るさに伝染されてるんだ。

日向は、一気に3組のテンションについていけなかった。
交流は、あったがあまり関わらない方が身のためと思ってたからだ。


「スマホでの撮影は、お控えください!はい、そこ!動画撮影しない!」
「増田くん、撮って!あとで真夏のスマホに送って!」
「写真撮るな!動画撮るな!拡散しようとするな!どさくさに紛れて、腕に引っ付くな!」
「ぷぎゃー!」

日向は、まとめてツッコんでひっついた真夏を引き剥がした。

「なんでー!日向くん、真夏たちカップルなのに」
「カップルちゃうわ!」
「ツンデレ?」
「もっとちゃうわ!」
「どぼー!」

日向は、真夏にチョップをお見舞いした。

昼休み終わる時間が迫ってきた。

「以上、柳真夏と伊賀日向の婚約会見でした!」
「勝手に婚約させるな!」

日向は、ずっと司会仕切ってた男子にチョップお見舞いして、自分のクラスに帰った。
まともなやついないのか!と叫びたくなった。

3年1組

「おかえり!3組賑やかだったな!」
「お前、結局カップル成立になったんだな。ウケる!」

クラスメイトの小田と相澤が爆笑してる。

「誰だよ。俺がむっつりスケベと嘘の噂流したの!名乗り出たら、許してやる。」
「それ、俺だわ。」
「貴様か!」
「いってー!名乗り出たら許してやるって言ったのに!閻魔様に舌を抜かれるぞ!」
「気が変わった!やっぱり相澤、てめぇか!」

3組の連中なんかずっと伊賀日向=スケベのイメージでいたんだぞ!
誤解とくの疲れた。

放課後、日向は、いつも通り親友たちと帰ろうとした。

「日向くーん!」

「げっ。この背筋が凍って、覇気を吸い取られるような気配は!」

「カップルって言えば、一緒にラブラブに帰るんだよ!」

柳真夏(=俺の天敵)だーーーーーーー!!!!!

「早速、彼女ちゃん登場だ!」
「ちがーーーーーーう!」

真夏は、走ってくる。日向の脳内では、某有名なホラー映画のBGMが再生された。

「来るなーーー!今日、塾があるんだ!(嘘)」
「じゃあ、そこまで行こうよ!」
「いや、お前ん家どっち何だ?」
「東北東方面だよ!」

・・・・・・・。

「恵方の方角じゃなくて、家の住所だ!」

日向は、チョップをお見舞いし、再び家の方角聞いた。

「3丁目でず~。」
まだ痛むのか?涙目になりながら、指さした。

「じゃあ、真反対だな。気をつけて帰れ。シーユーグッバイ!また明日!」
「あー!日向くーん!」


日向は、走って反対方面へ言った。

「じゃあ、柳さん、また明日!」
「じゃあね!」

小田と相澤は、走って、日向を追いかけた。
1人になった真夏は

「思ってたカップルとちがう!」


グラウンドど真ん中で叫んだのだった。

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翌日

日向は、学校の玄関で履き替えてると

「ひゅーがきゅん!」
「ぎゃあああ!」

びっくりして、叫んだので、他学年から冷たい視線。同学年から冷ややかな視線に日向は、一気に恥ずかしくなった。

「びっくりするな!急に声かけるな!日向きゅんは、やめろ!」

情報量が多いツッコミに小田と相澤から拍手が送られた。嬉しくねぇ~~。
「漫画で見たの。こういうシチュエーション、私、夢だったの!」
「俺からしたら、心臓悪いからやめろ!」


日向は、迷惑でしかななかった。

「今日、昼、一緒に食べましょ!私、料理得意なの。意外でしょ。えへ」

「いや、普通」

「日向くん、きっつ~!」

「早く教室行けよ。朝から体育なんだ」
「今日、古典の教科書、忘れちゃって、日向きゅん、貸して」

かわいくウィンクして、おねだりする真夏に日向は、思わず

「同じクラスの連中に見せてもらえ!あて日向きゅんって3組の連中の前で呼ぶのやめろ!」
と数学の教科書丸めて制裁放った。

「ぷぎゃーーーー!!!!」

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3組

「おはよう。日向きゅんの奥様!」

さっそく日向きゅんと呼ぶ男子1名発見。
本人いたら、ブチ切れ確定だろう。

「古典の教科書忘れたって言ったら、貸してくれなかった。」

「旦那冷たい!」

「冷たくないし、あと旦那はやめろ!今日、1組は、古典ないし」

「あ。日向きゅん!」

「日向きゅんは、やめろ!司会バカ!」

バシン!と叩き「なんで~!」と叫んだ。
「昨日、散々婚約会見とか勝手に開いて仕切っただろう!じゃあ、俺、体育だから行くな。」

日向は、グラウンドへ言った。

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真夏は、仲良い女子生徒手紙で日向について盛り上がった。
先生は、気づいてない。

「真夏、よかったね!」
「ミキちゃん、ありがとう!」
「日向くん、誘って、パーティーやろう」

きゃっきゃっしてると、出席簿で頭叩かれた。
「どびゃ!」

「柳、彼氏は、いいが古典にも注目しなさい」
「はーい。」

チラッと外見ると日向がくすくす笑った。
絶対、日向に出席簿で頭叩かれるのは、見た。

「日向きゅんにだけ見られなくなかったなぁ。」

真夏は、ミキに教科書見せて貰いながら、密かに担任の似顔絵書いて、クラスメイトに見せたら、大爆笑だった。

今日こそ日向きゅんと家まで帰りたいと願った真夏なのだった。