「絶対に友達になりたくない」

紫が去ってしまった後、完全に彼女の綺麗な声が聞こえなくなった後、小町は呟く。小町の手はセーラー服のスカートを強く握り締めていた。

小町の苦い青春はこうして幕を開けた。



小町が自分の恋愛センサーが女性にしか反応しないことに気付いたのは、小学六年生の頃だった。小町は同級生よりも体の発達が早く、高校生と勘違いされることが多かった。

そんな時、小町は当時担任だった男性に放課後残るように言われた。そして二人きりになった瞬間に男性に体を触られた。小町が大声を出したことでたまたま通りかかった他の先生が教室に入り、最悪の事態は防げたものの、小町にとって異性は恐怖の対象となってしまった。

そして男性が懲戒免職となり、女性の先生が担任となった。その先生は事情を聞いており、小町のことを誰よりも気にかけてくれた。そんな彼女に小町は恋心を抱くようになったのだ。それが彼女の初恋だった。

男性を一度も好きになったことがないまま小町は高校生になった。高校は女子校を受けたかったものの、両親に反対され、小町は共学校に通うことになったのだ。