幼馴染、終わりにします?!

「誰もいないよ」

ドアを開けながら、ゆいくんが言う。
心臓がちょっと跳ねる。

誰もいないって。いや、いてもいなくても変わらないよ。
勉強だし。

「親は夜まで帰んない」

あ、そっか。
普通にそういう日あるよね。
別に変じゃない。
勉強だし。

……勉強だよね。

部屋は静か。
やけに静か。

あー、世理以外の男子の家に入ったの、はじめてだ。
なんだか変な感じがした。

床に並んで座った。
距離はゆいくんのせいで、自然に近い。

「紗杷ってさ」

ゆいくんの計算式を書いていたシャーペンが止まる。

「最近元気なくない?」

優しい声。

なんでいつもはしない声すんの。やめてよ、

「……別に」

「三園くんのせい?」

世理の名前が出てきて、教科書から目線を上げた。
ゆいくんと視線が合う。逸らせない。

「怒ってるのかなって」

ぽろっとこぼれる。
ゆいくんに言うつもりなかったのに。

「俺がいるじゃん」

さらっと。ゆいくんがいった。できる男だなあ、さすがモテ男。
友達にもこういうことを言えてすごい。

でも、なんだか言葉が重い。

ゆいくんの手が、私の指に触れる。

振り払わない。振り払えなかった。
……振り払わない自分に、少し驚く。