そしてそれから三日後。


『祭りの日だけど、昼は暑いから夕方くらいからにしねぇ?』


さっそく連絡がきて、


『そうだね、そうしよう』


と返す。

夕方の四時に神社の前で待ち合わせすることにして、お母さんに夏祭りに行くことを伝えた。


「あら、じゃあ浴衣着て行く?」

「え?浴衣?」

「うん。引っ越しの時にね、お母さんが昔着てた浴衣が久しぶりに出てきたの。もしかしたら千春が使うかもしれないって思って、クリーニングに出しておいたのよ」


そう言ってお母さんはタンスのある部屋に向かい、そこから綺麗な紺色の浴衣を出してきてくれた。


「キレイ……」

「そうでしょ?アジサイのお花の柄なの」


大きく描かれたアジサイが、見ているだけで涼しくて大人っぽくて可愛い。

こんな浴衣、いつか着てみたいって実は前から思ってた。


「……でも、わたし浴衣なんて自分じゃ着れないよ」


どうやって着るのかもよくわかんないし、前に着たのも確か幼稚園の頃だし……。

そんなわたしの不安も、お母さんはきょとんとした後に笑い飛ばしてくれた。