─── 刻む、幸せ初体験 ───
真陽が大学を卒業してから早3年俺は25歳になった。
真陽の帰宅を待ちわびながら俺は有給を取って家で真陽の誕生日会の準備をしていた。
ピコンと携帯がメールの受信を知らせる。
"今から向かいますね"
"分かった。待ってる"
俺はドキドキしながらドッキリの支度をして真陽の到着を待った。

しばらくすると足音が聞こえて来る。
俺はクラッカーを握り、息を潜めた。
扉が開くと俺はクラッカーを鳴らし真陽を出迎える。
「お誕生日おめでとう!」
とクラッカーを鳴らすと真陽は腰を抜かし、尻餅をつきながら
「わぁ!?…ありがとうございます先輩。じゃあ僕からもサプライズです」
真陽が今度は俺に向かって顔を近づけ頬にキスをし、「ただいまのチューです」と耳元で囁いた。
俺は真陽の突然のキスに顔を赤らめ思わず目を見開きたじろぐ。
そんな俺を見て真陽は幸せそうに笑っていた。

夜、夕飯のペペロンチーノとシャンパンで乾杯をし、食べ終えた後『今日は流星群が沢山見えるらしい』との情報をTVから得た俺達は上着とデカめのブランケットを用意してベランダに出て空を見上げる。
「真陽、おいで」
ブランケットの中へと真陽を誘う。
真陽がブランケットの中へ入ると俺は真陽の後ろから真陽を抱き寄せて星空を眺めた。
沢山の流れ星が行き交う夜空の下でこの幸せな日々がこれからも永く続くことを願いながら眠たくなった俺達はふたり同じベッドで眠りにつくことにしたのだった。

翌朝目覚めると
真陽の生暖かい寝息が部屋中に響き渡る。
俺は真陽の頬にキスをし、起きた真陽も俺の頬にキスを返す。
そして俺は起き上がり真陽を跨ぐと
真陽は顔を赤く染め上目遣いで俺を見つめる。
「かわいい」
「…かわいいじゃなくてかっこいいって言って欲しいです」
いじけた真陽が頬を膨らます。
「ごめんごめん…勿論かっこいいって思ってる。でも、それに負けないぐらい愛おしくも思ってる」
「先輩…」
「それに何時まで先輩呼びすんの?…そろそろ名前で呼べよ…」
「…つっ…翼…」
真陽はいよいよ真っ赤に染まった頬を隠すように顔をそらし、また俺を見つめると口パクでキスと言ってキスを促す。
俺らその催促に従い、顔から身体にキスをした。

俺の携帯が着信を告げる。
重たい瞼を開けて画面を確認する。
そこには主任の文字。
「はい、お疲れ様です」
通話中真陽が俺の腰に手を巻きつけて顔を肩に押付ける。
通話が終わると「誰からですか?」と問う。
「主任。また新人のミスのカバーしてって頼まれた」
「じゃあ、今日は帰りは遅いんですか…?」
「そうなるな…」
と返事をすると真陽はしょんぼりした様子で
「分かりました…僕大人しく待ってます。なので、帰ったら沢山イチャイチャしたいです」
と頬を赤くしながら俺の寝巻きの裾を握った。
「了解、沢山イチャイチャしような」
そう言って微笑むと真陽も微笑んだ。

しばらくして俺が身支度を手早く済ませると真陽も手早く朝食を作ってくれていた。
俺は真陽の作った朝食を食べ
「いってらっしゃい」と真陽に見送られ
「いってきます」と挨拶をし、家を出た。

end